2×1000【R18】

 ずっと長い間。カタチを失くして、想いだけがぐるぐるとめぐっていた。
 本当に、すごく長い間。でも俺の全部はあの時に止まったまま。

 誰かの声が、聞こえた気がした。
 やさしくて、安心する声。

―もう、大丈夫―

 そうしたら、ふわ、と浮遊感がして、落下する。

 水に包まれる感触で、やっと自分がカタチを取り戻したのだと気付いた。

――――――

「ぷはっ……げほっ……けほっ」
 ざば、と水面から顔を出す。足のつく場所までゆっくりと泳いでいく。
「………………俺……」
 自分の体をまじまじと見る。腕も足もある。顔に触れてみる。
 水面には確かに自分の姿が映っていて。

「…………っ」
 湧き上がる感情を抑えきれずに、本能のまま思いっきり叫んだ。
「わぁーーーーーーーー!!!」
 どうしよう、どうしよう。
「あぁーーーー……は、はは……あははっ」
 体があることが、ここに存在することが、こんなに嬉しい。嬉しい。
 嬉しいのにちょっと涙がでて困った。

 とりあえず落ち着いてから周りを見てみる。
 美しい泉だった。貝殻をくりぬいたような、不思議な建物がある。
 どことなく、雰囲気がマカラーニャの聖なる泉に似ていて、懐かしい。
 泉の水も、何か不思議な力があるようだった。
「スピラ……じゃない、よな」
 とりあえず泉から上がってみる。人気はない。ということは、モンスターがでるかもしれない。
 す、と手を出して意識を集中する。シュン、と音がして水の剣が姿を現す。
 安堵の息をついて周りの探索を始めた。

――――――

「誰もいない……」
 散々歩き回ったが、この泉の周りには人はおろか村や町もありそうにない。
 ひとまず最初の泉に戻ってきて、今日はここで野宿することにした。
 モンスターが殆どいないのがせめてもの救いだった。
 しかし、食べられそうなものも、殆どなかった。
「………………」
 ぐうぐうと音をたてるお腹をさすっていると、ふと寂しさがこみ上げてきてふるふると頭を振った。
 まだこんな所で音を上げるわけにはいかない。
 さっさと寝てしまおうと横になる。
 これからの事を考え、うとうとしてきた所で思い出す。
 ――異世界で出会った、大好きな人の事を。最後にした、約束を。

――――――

「だから、俺は消えちゃうんスよ」
 声が震えないように気をつけながら言った言葉に、クラウドは僅かに目を見開いた。

 異世界で出会った仲間達。その一人、クラウド。
 彼の事が、好きになった。そして彼も、自分の事を好きだと言ってくれた。
 互いに想いが通じ合って、嬉しかった。キスして、体を重ねることもあった。
 戦いばかりの世界で、クラウドと過ごした思い出はとても幸せなものだった。
 元の世界の記憶が戻っても、クラウドや仲間達といれば平気だった。

 最終決戦の前に、全てを話した。元の世界であったことも、自分の物語も。
 この体は消えてしまうけれど、この気持ちは消えないと。
「だから……忘れないで、欲しいッス」
「……ティーダ」
「忘れ、な……で……」
 泣かないと決めたのに、目が熱くなる。
 優しく抱きしめてくれる腕が嬉しくて、でももうすぐこの温もりとも別れるのだと思うと。

「ティーダ」
 耳を擽る心地よい声。頭を撫でられて目を閉じた。
 フリオやライトに怒られたときも、大きな怪我をして寝ていた時も、いつもクラウドがこうして頭を撫でてくれた。
「お前は、消えない。俺がずっと、お前を思い続ける。ずっと呼び続ける。お前が夢だというのなら、俺がお前の夢を見る」
「クラウド……」
「お前を俺の世界に召喚してみせるさ」
 クラウドが柔らかく微笑む。
 不思議な蒼色の瞳は真っ直ぐと自分に向けられている。その目に揺るぎはない。
「だから、待っていてくれ」
 頬に添えられた手が涙を拭っていく。どれだけ時間がかかっても、きっと。
「……ん……うん……絶対だかんな……ッ」
「あぁ……約束だ」

――――――

 目を閉じていても光を感じる。ゆっくりと意識が覚醒していく。
「ここ……クラウドの世界……なのかなぁ」
 そう思うと、少しずつ力がわいてきた。と言っても、殆ど何も食べていない状態であるのは違いないが。
 今日は食べ物を探すため、昨日よりもう少しだけ遠出するつもりだった。
 この泉は安全なのはいいが、他には何もない。偶然人が来るという事もなさそうだから、ぼーっとしているわけにはいかないのだ。

「おりゃっ!」
 泉の周りを覆う森をぬければモンスターも増えてくる。
 シンと戦った自分にはそこまで強い敵でもなく、傷を負うことなく進んでいった。
 モンスターの肉でも食べることはできないだろうかと考えはしたが、毒を持っていては危険だ。
 それに、この世界のモンスターはスピラと同じように倒したら淡い光となって消えてしまう。
 そう考えると、ここはスピラではないが、スピラに近い世界なのかもしれないと思った。

「っぐ!?」
 モンスターと戦う最中、何も食べていないせいか一瞬力が入らなくて地に膝を付いた。その隙にモンスターの攻撃を食らってしまう。
「っのぉ!!」
 剣でなぎ払うと緑の光となって消えていくモンスター。ほっと息を吐いて立ち上がろうとした時、激痛が走った。
「っ……、ぅ……く」
 噛まれた傷口から血が溢れ、少し変色していた。
(毒……)
 じわじわと体力を削られる毒ではなく、刺すような痛みが襲ってくる。
 泉で汲んだ水で傷口を洗うと、ほんの少しだけ痛みが和らいだ。しかしそれだけで、毒は少しずつ体に回り始めている。
 少しでもマシになればと、近くに生えていた丈夫そうな蔓で止血した。
 早く、どこか人のいる場所を見つけなければ。
 気持ちばかりが先走り、体が上手くついてこない。
 先程までは大したことのなかったモンスター達にも苦戦する。
 こんな時でも脳裏に浮かんでくる、大好きな人の姿。
(クラウド……)
 早く、あいたい。

――――――

 夢にティーダが現れなかった。
 夢、と言ってもそれは、あの世界での記憶だったり、まったく知らない場所―おそらくティーダの世界―でティーダと会話する夢だったりとまちまちだった。
 あの、カオスとコスモスの戦う世界から戻って既に二年が経過していた。
 あの世界から戻った後は宿敵セフィロスを倒し、二年後……1ヶ月前にカダージュ達を倒し、星痕も消えた。
 世界はようやく前へと進み始めている。
 そんな時に、毎日のように見ていたティーダの夢が、なかった。
 胸騒ぎがする。夢に現れない、ということは、本当に消えてしまったか……あるいは現実となってこの世界に降り立ったか。
「……後者に決まってる」
 何を嫌な想像をしているのか、と自分を叱責する。
 いても立ってもいられず、店を休業してバイクを走らせた。
 心の中にティーダを思い浮かべる。二年たっても全く色あせない記憶。太陽のような笑顔。

 ふと、心に浮かんだ場所。『忘らるる都』。
 いつも何かあるとき、必ずあそこが関わっていた。
 僅かな可能性にかけ、ハンドルを切る。
「……泣いていないと、いいが」
 早く、あいたい。

――――――

「は……」
 痛みは治まらず、少しずつ熱も出てきてますます危険な状態だ。
 ゆっくりと血を出しながら蔓を緩める。いつまでも止血していると良くないからと、スピラでは魔法や薬で治すのが常だったが今は何も無い。
 海へ出て、魚を一匹捕まえた。浅瀬にいる小さなものだったが食べられる。
 火を通して少しずつ食べる。毒の影響で食欲がなかったが無理してでも食べなければ。
 折角また、こうして地面に立つことができたのに。
「死んでたまるかっつーの……」
 死ぬのか消えるのかは、よく分からなかった。

――――――

 たどり着いた『忘らるる都』は、相変わらず静かに美しい水を揺らしていた。
 バイクを止めて辺りを歩いてみる。
 特に変わった所もない、と少し気落ちする。踵を返そうとして、焚き火の跡があるのに気付いて駆け寄る。
「まだ新しい……」
 この場所にくる者は殆どいない。だとすれば、もしかして……。

 バイクに飛び乗ると全速力で走り出す。
 会えるかもしれない。期待に鼓動が早くなる。
 けれど同時に、嫌な予感も感じていた。

――――――

「う、くッ……」
 辺りはすでに暗くなっていた。
 魚を何とか胃におさめ、立ち上がろうとするとじくじくと全身が痛んだ。
 自分にできる全ての処置をやっても、やはり薬か治療魔法がなければ気休めにしかならない。
 全身から汗が噴出す。立ち上がりたいのに足は動いてくれなくて、体を支えている腕もぶるぶると震え始める。
 熱も出ているせいで意識が朦朧とする。

 霞む視界のなかで、暗闇に光る赤い目玉を見た。
(っモンスター……!)
 低い唸り声とともにそれは少しずつ近付いてくる。剣を出現させるも、もう体を支えるだけで精一杯だった。
 ここまでなのか、と唇を噛む。いや、例え絶望的な状況だとしても、諦めない。
 腕が動かなくたって、噛み付いてやる。殺されても、悲鳴などあげてやるものか。
 真っ直ぐにモンスターを見据えて、剣の柄を握り締める。そしてヤツが飛び掛ってくる瞬間を待った。

 けれど、その瞬間は来なかった。
 突如遠くから響いてきたエンジン音が、モンスターと自分の間に飛び込んで来たのだ。
 巨大な機体を乗りこなし、見覚えのある大きな剣でモンスターを葬り去った男は、バイクを飛び降りて自分の方に駆けて来た。

「ティーダ!!!」
「……くら、」

 そこで意識はふつりと途切れた。

――――――

 意識を失ったティーダはモンスターの毒に侵されていて危険な状態だった。
 応急処置にと常備している治療用のマテリアを使う。少しだけ熱が引き、表情も和らぐ。
 だが危険な状態なのに変わりはない。急いでティーダをミッドガルへと連れて行った。

 家に帰るとティファ達はいなかった。ひとまず医者を呼び診察してもらう。
 あと一歩マテリアの治療が遅かったら危なかったと言われて背筋が凍る。間に合って、本当に良かった。

 いくつかの薬を置き、注意事項を言うと医者は帰っていった。
 ひとまず呼吸も落ち着いた様子のティーダを寝室に残し、家の中を歩く。
 テーブルの上に書置きを見つけて読む。ティファはマリン達とバレットの所に行ったようだ。
 少し前、一緒に行く約束をしたのに申し訳ないと思う。数日泊まると言っていたし、後で電話をしておこう。

 そう決めてから再び寝室に戻ると、ティーダは穏やかな顔で寝息を立てていた。
 ――本当に、良かった。

――――――

 ぼんやりとした意識。その中で、傍に誰かがいるのをいつも感じていた。
 温かいスープを飲ませてくれて、蒸したタオルで優しく体を拭いてくれた。
 つんつんとした金の髪と蒼の瞳は、自分が一番好きな人。

「くらうど…………?」
「……ティーダっ」
 次第にはっきりしてくる視界には、大好きな人が映っている。
 少し重く感じる腕を上げて、その顔に触れる。
「くらうど……」
 名前を呼べば、なんだ、と彼にしては珍しく、泣きそうな顔で答えるから。

「…………クラウドっ」
「、……ティーダ……!」
 うまく力の入らない腕を精一杯伸ばして、抱きついた。
 縋りつくように抱きしめると、同じように抱きしめ返してくれる。
「クラウド……クラウドっ」
 何度も何度も名前を呼んで、抱きしめて、そこにいることを実感する。自分がここにいることを実感する。
 少し体を離して、クラウドが顔を覗き込んでくる。指の腹で目元を拭われて、やはりティーダは自分が泣いていたことを知った。
「あいたかった……ティーダ……」
「……っ遅いッスよ……くらうど……ばか」
「すまない……」
「……いいッス……俺も……あいたかっ、た……」

 どちらともなく唇を重ねた。クラウドにとっては二年ぶりの――ティーダにとってはどれくらいか分からないほどの時間を置いてのそれは、何よりも甘く心地よかった。
「くら……ん、ふ……ぁ……ッ」
 甘く啄ばむようだったキスから、次第に深いものへと変わっていく。
 歯止めが利かなくなりそうだと感じたクラウドは離れようとしたが、ティーダがそれを拒んだ。
 更に求めるように自ら舌を伸ばし、積極的にクラウドのそれに絡ませる。やがてクラウドもそれに応えるように口内を探る。
 互いの唾液を飲み込み、吐息すらも奪うほどに激しい口付け。クラウドが舌を甘噛みするとぞくぞくと快感が駆け上がる。

「んあっ…………は、ぁ……はぁ……」
「ティーダ……」
「ん、……だいじょぶ……だから……」
 柔らかなベッドに体を沈ませるティーダに覆いかぶさるようにしてベッドに乗るクラウドは心配げな表情をした。
 数日間看病して、今ようやく目を覚ましたばかりのティーダに無理はさせたくない。
 それでもティーダは笑って、クラウドに抱きつく。

「いい、から……っ……抱いて、ほしい……っす……」
 抱きついて顔が見えない代わりに、うなじまで赤くなっているのを見て思わず心臓が跳ねた。
「俺がちゃんと『ここにいる』って……もっと、感じたい……もっと、クラウドに触って、ほしいッスよ……」
 涙声で訴えるティーダを抱きしめて、そっとベッドへ横たわらせた。
「わかった……無理だったら、ちゃんと言え」
「ん……」
「俺も……ティーダを感じたい」
「……っふ……ぁ…………ッ」

 首筋に舌を這わせ、少しずつ登っていく。耳たぶを甘噛みして舐め上げるとティーダの体が跳ねた。
 腹から手を滑らせて服を捲くる。たどり着いた胸の突起は僅かに硬くなり始めていて、きゅ、と摘むと甘い吐息。
「は、あッ……ん……ん、んっ」
「ティーダ……」
「ひゃ……!」
 反対の手は背中を撫で上げ、ティーダの弱点を攻めていく。肩甲骨の辺りの窪みやうなじは特に弱くて、指先だけの軽いタッチで触れていくと胸の突起もつんと尖る。

「相変わらず……だな」
「や……んんッ……だ、だって…………ふ、あ……おれ…………あの時か、ら……変わってッ……な……んんっ」
「そうか……」
 あの時、あの世界で別れた時。クラウドの中ではあそこでティーダの時間は止まっている。だから見た目も、あの時のまま。
 でも、これからはその先も見られるのだ。
「クラウドは……っん……変わった……スね」
「……どういう風に?」
 くすりと笑ったクラウドは、異世界にいた時よりも自然に笑えている気がして嬉しかった。
「……かっこよくなった……かな……あと背も……ッや、あ……も……そこ、ばっか……んっ」
「ふ……お前より少し低かったからな」
 懐かしい記憶を思い出しながら、会えなかった時間を埋めるように肌を重ね合わせる。
 ズボンを脱がせたティーダのそれはもうとろとろと蜜を零していて、どれだけ高まっているかが分かる。
 胸を弄っていた手を下ろして優しく握りこむと短い悲鳴が上がった。

「ひ、あッ……! くら……くらうどぉ……」
「……っ……」
 ティーダの痴態を見てクラウドも煽られる。ずっと、夢に見続けた愛しい恋人を、際限なく求めてしまいそうだ。
 くちゅ、と粘着質な音が暗い部屋に響く。手を動かせばティーダも求めるように腰を揺らした。
「くら、うど……すき……ぁ、あッ!」
 まだ触れてもいないのにひくひくと蠢く秘部に指を一本挿入する。それだけで達した時のように体を震わせて、内壁が指を締め付けてくる。
 その言葉に、反応に、何とか保っていたクラウドの理性がゆっくりと瓦解していく。
 二年間、降り積もった想いがあふれてくる。

「あ、あっ……は、ぅ……」
「っ、ティーダ……すまない……!」
「え…………ッ……あ、あ……ッ――――!!!」
 まだろくに慣らしていないそこに、猛った自身を無理矢理挿入した。ティーダの痴態を見て既に先走りを溢れさせていたため、少しはましだっただろうが、それでもティーダの負担は尋常ではないだろう。
 大事にしたいのに、傷つけたくないのに。理性を裏切って気持ちが勝手に体を突き動かす。
 久しぶりに入ったティーダの中は相変わらず熱くてきつくて、堪らず腰を揺らせば悲鳴のような嬌声。

「あっあっ……いッ…………、らうど……ッ……あ、あァっ!!」
 苦しいだろうに、ティーダは涙を流しながらも腕をまわしてくる。
 仕草の一つ一つに興奮して、口付けながら荒々しく腰を打ち付ければ悲鳴も呻き声も自分の中に入っていく。
 きゅうきゅうと締め付ける内壁も、自分を求めて啼く声も、全てが快感を与えてくる。

「ティーダ……ティーダッ……すまないっ……止められない……!」
「んっ……あぁッ……い、い……から………………くらうどぉ……ッあ!」
「ティー……!」
「うれ、し……からっ……あ、んッ……もっと……クラウド、で……いっぱいにッ……し、て……!」
 その言葉で、自身がどくんと反応するのを感じた。もう、本当に止められない。
 顔にたくさんキスをしながら腰を大きく動かした。ぎりぎりの所まで抜いて一気に押し込むとティーダの体が大きく跳ねる。
 同時に弱い所を攻めてやればきつく締め付けられてたまらない。

「あ、あ、あッ……あ、はぁッ……! んんッ!」
「ティーダ……好きだ…………愛してる……っ」
「ん、ああっ……おれ、もっ……あ、あッ……す、きぃ……だいすき……クラウドっ……あ、あぁッ!」
 一番感じる場所を擦られて、痙攣しながら白濁を吐き出すティーダ。同時に強く締め付けられたクラウドもティーダの中へと自身の欲望を注ぎ込んでいく。
 ドクッドクッと断続的にやってくる熱い奔流にも感じるのか、内部がまた収縮する。
「ティーダ……」
 はぁ、と吐き出した息が耳元を擽る。抱き合ったまま息を整えているとティーダがもぞもぞと腰を動かした。
「ん、クラウド……」
「どうした? ティーダ……」

「……その………………く、クラウドは……一回で…………いい……んスか……?」
 頬を染め、ちらり、と上目遣いで見上げてくるティーダに、まだ硬さを保っていたクラウド自身がさらに反応した。
 自分から誘ったくせに「ふわぁっ」なんて可愛い悲鳴をあげるティーダを横向きに寝かせて片足を抱え上げる。
 より深く繋がった場所から先程出した白濁が溢れて、その光景にごくりと喉が鳴った。

「足りない……全然足りない……ティーダ……」
「ん、ん……俺、も……もっと……ッくらうど……!」
 クラウドが律動を始めると、言葉は甘い嬌声へと変わる。
 自身がティーダの中を出入りするたびにぐちゅぐちゅと卑猥な音が聞こえ、そこから粘液が零れた。

「ん、くっ……あ、んッ……ん、んぅ……! クラウド……ッ……くらうどぉ……!」
「ティーダ……っ……きもち、いいか……んっ」
「ふあッ……ん! きも、ち、い……あァっ……や……や……そ、こ……!」
 頭を振って快感を散らそうとするティーダに追い討ちをかけるように、前立腺を強く擦れば腰がうねって堪らず射精しそうになる。
 それを堪えて何度も最奥を突いてやれば泣きながらも体は快感を求めて動く。

「や、あッ! ん、んーっ! おか、おかしく、な……るっ……は、あ」
「大丈夫、だ……ティーダ……俺がいる……っ」
 けれどいっそ、自分の事しか考えられなくしてやりたい、とも思う。
 自分がこんなに強い独占欲を持っていた事に驚くが、それでもいい。
 今まで、自分の事を知らなさ過ぎた。ティーダといれば、それが見つかるような気がする。

「クラウ、ド……キス……っ……んぅ」
「ティーダ……ん、ん」
「ん、ふ……ッ……んん、む…………んんっ!」
 ティーダの願いに応えて口付ける。その間も腰の動きは止めない。
 口の端から零れた唾液も、頬を伝う涙も舐めとってまた口付けた。
 限界が近付いて互いの呼吸も荒くなっていく。ティーダの体がびくん、と跳ねた。

「ん、あ、あぁッ……! くら……ど……ッあ、あぁ――!!」
「……ッ………ティーダ……!」
 二度目で、少し薄くなった精液がシーツを汚す。クラウドも自分の証をティーダの中へと流し込む。
 熱い奔流を受けて震える体からそっと自身を引き抜こうとすると、内部がきゅう、と締まりティーダが抱きついてきた。
「や……くらうど……はなれ、ないで……まだ……」
 クラウドが驚き目を見開くと、ティーダは幸せそうに笑っていた。

「やっと……会えたから……やだ……離れたくないッス……」
「……あぁ、離さない。ずっと、一緒だ」

 これからは、どんな事があっても、絶対に。

「うん……クラウド……だいすき……」
「……愛してる、がいいな」
「う…………いじわるッスね……」
 真っ赤になって睨んでくるティーダが愛しくてキスをする。
 最初は驚いて、すぐに笑った。きっとティーダは、クラウドが思うよりずっと長い間待っていたのだろう。
 これからはゆっくりと、その時間を埋めていこう。
 そう決意しつつ再び力を取り戻し始めている自身に苦笑しながら、クラウドはティーダを抱きしめた。

――――――

■あとがき■
な、長くなってしまいました……すいません><
何だかえろも微妙な気がしてきた……うおぉ(悶)クラウドは結構激しいと思います。あれ、7メンズ絶倫多くないですか←
ネタの泉でいただいた『ティーダin7世界でクラティ(裏)』を書かせていただきました。匿名様、ありがとうございましたv
具体的な話の流れも書かれていたのですがそこは割愛……。小説の中に反映するよう努力しましたので読み取ってくださいorz
最初にティーダに呼びかけてるのは祈り子でもエアリスでもひでおでも←
クラウドの強い思いに反応して、ティーダの欠片を集めるのを手伝ってくれたって所です。
ティーダはいつも水と関わりがあったし、忘らるる都は聖なる泉ににてるよなーと思ったので登場させました。
一応資料とか見てたんですが変な所あったらすいません……。あの周りはボーンビレッジしかないですよ……ね?
ACを見る限りでも実のなる木とかもなさそうでしたし……。違和感感じてしまったら申し訳ありません~。
これから二人は時々ケンカもしつつ幸せに暮らしていけばいいですv

タイトルは、7世界が10の2000年後だという事から……。クラウドのいる世界にたどり着くまできっと2000年、ティーダはライフストリームというか 幻光虫の中というか、星の中をめぐっていたんだと思います。
本当は「俺なんかその千倍待ってたんスよ!」とか言わせてみたかったんですが多分時間の流れとか詳しく分からないだろうなーということでボツ(笑)

タイトルとURLをコピーしました