チョコボに乗るのが好きだ。
風を切って走る感覚だとか、ふわふわしたチョコボの毛並みだとか、かわいい声だとか。
そう、ただティーダは純粋にチョコボが好きだといっただけでこんな。こんな。
「こんなことしたいなんて言ってないッスー!!!!」
――事の始まりは数分前に遡る。
「バッツー!……ここにもいない……もーどこ行ったんスか!」
「どうしたんだティーダ」
「あ、クラウド」
ティーダと同じく非番のクラウドが部屋から降りてくる。今日は出かけないらしく装備も外し、軽装だった。
「バッツがいないんスよ。チョコボの召喚石もってるの確かバッツなのに」
「チョコボ……? バッツじゃなくてチョコボに用があるのか」
「チョコボに乗りたいんスよ無性に! 風をきってばびゅっと走るとことか、ふわふわした毛並みとか、かわいい声とか! うあーバッツじゃないけどチョコボ欠乏症ッス!」
召喚石は基本的に皆が使えるよう管理しているのだが、チョコボだけはバッツが管理している。装備する時などは渡してくれるがそれ以外はずっとバッツが装備している。ちなみに そのチョコボのせいで不利な状況に陥ることもしばしばある。
バッツのチョコボ好きも困ったものだと軽くため息をついたティーダの横でクラウドが何か思案した。
「そういえば今日はチョコボに乗って遠出するとか行っていたな。多分夜まで帰ってこないぞ」
「げ、まじ? うわーーバッツの馬鹿ーーーー!」
他の仲間達も素材集めやらなにやらで出払っているので実質館にはクラウドとチョコボに乗れず嘆くティーダの二人しかいない。
ついでのようだが、二人は一応恋人同士である。
「…………」
クラウドの目がきらりと光った。
「ティーダ、チョコボに乗りたいんだな」
「うー……うん」
「なら来い。乗せてやる」
「……えっ……えっ、ほんと!?」
しょげかえっていたティーダの顔がぱっと明るくなった。軽く頷くとクラウドが部屋に向かって歩き始めたので慌てて追う。
しかし、とティーダは首を傾げる。チョコボはバッツが連れて行ったのではなかったか。
(あ、もしかして野生のチョコボを見つけたんスかね。それで召喚石の方はこっちにあるとか……)
ならばクラウドが部屋に向かうのも納得がいくと一人で決着をつけてしまう。後にティーダはこの時に限って余計な解釈をした自分を呪うことになる。
ドアを開けて促されるまま部屋に入る。
――カチャリ。
「ん?」
今なにか、鍵をかけるような音がしなかっただろうか。振り向くとクラウドが扉を後ろ手で閉めている所で。
あ、なんかヤバイ。と、本能で察知したが既に遅く距離を詰めたクラウドに腕を掴まれる。
「ほら来いティーダ」
「え、や、ちょっ……! チョコボは!?」
「いるだろう。ここに」
ベッドに乗り、動揺したまま抵抗するティーダを引っ張ると自分の上に座らせる。掴んでいた腕を離すと、今度は両手で自分をまたぐティーダの腰をがっちりとホールドした。
「……クラウドサン?」
「チョコボに乗りたかったんだろう?」
クラウドには珍しい微笑み。今のティーダには悪魔の微笑にしか見えない。
「ちょっ……ちょーっと待てって! チョコボ扱いしてるのはバッツだけだろ!」
「お前もしたことがある」
「あ、あれはバッツがやってたから悪乗りっていうか……」
「こんな時だけチョコボ扱いはしてないだなんて……ずるいな、ティーダ」
「ずるいのはそっちだろ! こんな時だけチョコボ扱い受け入れやがってー! つーかチョコボは腹の上じゃなくて背中に乗るもんだろ!」
至極真っ当な反論をして抵抗を試みるも腰を掴まれ逃げられないし声を上げても今ここには二人しかいない。つまり逃げ道無し。
「最近してなかったしな……お前が逃げるから。皆夕方まで帰ってこない。安心しろ」
「安心できるかー!!」
叫んでみても、もうどうにもならない状況は確定で、泣く泣くティーダはクラウドに流されていくしかなかったのだった。
――――――
「ふ……っぅ、く……」
「相変わらず敏感だな。したがらないから不感症にでもなったのかと」
「なっとらんわ! っぁ……く、クラウドがっ……しつこい、か、らっ」
「俺なりに優しくしているつもりだが」
言いながらもティーダへの愛撫はやめない。上半身を起こし、片腕でティーダの腰を抱いたまま首筋を舐る。空いた手で胸の突起をそっと擦ればぶるりと体が震えた。
冷静であろうとするクラウドだが、久々だということと、羞恥と興奮で火照ったティーダの体の熱さに息が荒くなる。
「いっ……噛む、なっ、て……クラウドっ……」
健康的に焼けた肌に舌を這わせ、じゃれる犬のように歯を立て甘噛みする。が、かぷ、かぷ、と繰り返すうちに力が強くなり、つい。
「ッい゙! っ――」
びくんとティーダの体が強張るのにはっとし、クラウドは口を離したがそこにはもうくっきりと歯型が。
「~~~~ッ馬鹿クラウド! 見えるだろ! 痛いし!」
「……悪かった」
苦笑しながらそこにキスするとまた震える体。案外ティーダはMっ気があるのかもしれないなどと本人が聞いたら怒り狂いそうな事を思いながらも行為を続ける。しかし……
「んっ、んっ……っふ……」
声を漏らすまいと口元を押さえる仕草。それでも堪え切れなかった呻きが漏れ、伏せられた目は涙を滲ませ。
初めて抱いた時からクラウドが思っていたことだが、ティーダのこういう仕草はちょっと、いやかなり嗜虐心を煽ってくる。
先ほどしつこいなどと言われたがそれは間違いではない。ティーダを見ているとつい感情を抑えきれなくなる。欲望のままに犯し尽くして、自分のものだけにしてしまいたくなる。
今もまたティーダの快楽に耐える顔はクラウドの理性をぐらつかせるのに十分な威力を発揮していた。
やがてクラウドの熱に気付いたのか座っていたティーダが体をもぞもぞと動かす。が、逃げないよう腰を抑え擦り付けるように腰を動かせば小さな悲鳴と共にティーダの体が撓った。
「くっ……クラ」
「逃げるな、まだちゃんと『乗って』ないだろう?」
「ほんっとムッツリだよなクラウドッ馬鹿スケベ! エロ親父!」
「そんな年じゃないんだが」
「どうでもいいとこで反応すん、な……ッ」
「そのスケベに弄られて善がってるティーダもエロいな」
「くらっ……くらうどが、変な触り方、するっ……から……わっ」
窮屈になった前を寛げると現れた怒張にティーダが驚く。ティーダの服にも手をかけると最初は渋ったが、無理矢理腰を抱き上げると観念したのか大人しくなったのでズボンを片足だけ引き抜く。
露になったティーダのものも勃ちあがっており、視線を上げれば顔は真っ赤だった。否、顔だけでなく全身が羞恥で薄っすらと色づき、思わずごくりと喉が鳴る。
腰を寄せて互いのものを密着させれば、反射的にティーダが体を引こうとするが、後ろは指を濡らしたクラウドが固く閉じた蕾を撫でていて。
「くら、うどッ……ひ……」
「ほら……擦ってみろ、ティーダ。キモチイイだろう?」
「あっ……あ、あッ……」
ティーダの手を導き触れさせる。同時にひくりと震える蕾を解すため中へと指を滑り込ませる。
本人は否定するが、ティーダは快楽に弱く、素直だ。クラウドが手を離してもゆるゆると自分で手を動かす。中でぐりぐりと指を動かせば広げられる痛みの中に快楽を見つけ、体を震わせた。
ティーダの痴態を見てクラウドの瞳も欲望に濡れぎらぎらと獣のように光る。こうなった時のクラウドは性急だ。何度も指を濡らし、ひくつく場所をひらいていく。
「や、あッ……くらうど……も、……おれ……ッ」
すっかり抵抗する気がなくなったらしいティーダがもどかしそうに腰を揺らめかせる。クラウドが腰を抱き寄せ、自身の上へと誘導させる。
「ほら、ティーダ……」
ぐち、と入り口に押し付ければその質量と熱さに体が震える。手を離せば、ゆっくりと、ゆっくりと。
「あ、あ、あ、……ッ」
ぽろ、と零れる涙を指の腹で拭う。やがて全てが収まるとはっはっと息を乱しながら倒れそうになるティーダの体を支えた。
落ち着くまでまってからクラウドは体をベッドに預ける。自分に跨るティーダに満足感を覚えながら小さく揺さぶる。
「あッ! や、あっ、ぅ……くら……ど……待っ……」
「駄目だろうティーダ、ちゃんと乗りこなさないと」
「っ……の……へんた……ぃ……ぁあっ」
一度動くのを止め、掴むものを求めて彷徨うティーダの手を取り、指を絡める。落ち着くように呼吸を繰り返すティーダの様子を見ながら、悪戯に動けばぎゅうっと力が強くなった。
「ッ……」
「は……はぁ……はァ……ッ……あ、んっ……んッ……ら……うどッ……は、あっ……!」
自分で腰を動かし始めたティーダにあわせて、クラウドもより快感を与えるよう動く。ぎしぎしとベッドが悲鳴を上げ、ティーダの涙がシーツに散る。
いやらしい水音が聴覚までも犯し、ティーダはもう何も考えられなかった。
「あァ、あ……くらう……ッ……や、あ……も……イ……ッ……イ、く……ッ!!」
「……ッく……」
同じく限界だったクラウドも耐え切れなくなり、絡めていた指を離し、ティーダの腰を掴んで激しく揺さぶった。
「ひッ、あ、あッあっ……ッあ……あ――――ッ……!! ッ――!!」
「ティーダ……ッ……!!」
ずん、と最奥を穿つとティーダの体が痙攣し、限界だったそこから白濁が散る。少し遅れてクラウドも収縮する中へと精を放つ。
最奥に届かせるかのように、まだ震えているティーダの腰をぐっと押さえつけ、注いでいく。広がる熱い感覚が堪らなくてティーダは何度も体を震わせ、最後にはぐったりとクラウドの上へと倒れた。
「ぁ……あ……は、ぁ……はぁ……」
「……は……そんなに気持ちよかったか?」
「…………ば、か……」
ふ、とクラウドが笑うと、何故か再び腰を掴んだ。
「ふぇ……」
「お前が逃げるせいでお預けだったからな。まだ付き合ってもらうぞ」
「や、やだっ! あッ……」
既に中で再び熱を持ち始めているクラウドを感じてティーダは泣きそうになった。
「安心しろ、夕方まで誰もいない。まだまだ乗っていても大丈夫だからな」
やはり、どんな手を使ってでも最初に逃げておくべきだったのだ。今更そんなことに気付いても後の祭りで。
「ティーダ」
夕方になり、仲間達が戻ってくるまで館には甘い悲鳴が響き続けていた。
――――――
あとがき。
久々に文を書きました!なのにエロですごめんなさい。
ネタの泉より、
ティーダ「最近チョコボに乗ってないッスね」
クラウド「俺に乗ってみるか」
ようするに騎乗位←
というのを書かせていただきました!匿名の方ありがとうございましたv
ブログのメモには騎乗位とだけ書いてましたが実はこんな内容でございました。メールをいただいて笑ってしまい、書いてても楽しいネタでした!
クラウドさんは原作でも蜂蜜の館に突撃したりパンツ盗んだり結構ムッツリタイプなのでHENTAI仕様にしてしまいました!
純粋にカッコいいクラウドさんファンの皆様には大変申し訳ありません。
でも騎乗位って意外と書いたことない様な気がするのでいい経験にもなりましたΣd(´∀`*)
ではでは、最後まで読んでくださりありがとうございましたー!