蕩けそうな温度

 あつくて、あつくて。
 溶けてしまいそうな程あつくて。
 だからきっとこの思考も行動も、この暑さのせいなんだろう。

「ス、コー……ルっ……」

――――――

「あっぢぃー……」
 ばたばたと団扇で風を送りながらティーダが唸る。それもそうだ、今日の暑さは少し異常だと思う。
 外に出ている他のメンバーもさぞかしこの暑さに参っていることだろう。室内にいて窓を開けていてもこれなのだから。
「なぁスコールぅー……脱いでもいいッスかぁ~?」
 そう聞かれても同じく暑さでまいっている俺は返事をするのも億劫で。かく言うティーダも返事など最初から期待していなかったのか、上半身に身に付けている衣服を脱ぎだした。

――今思えばこれも原因の一つで、何故止めなかったのかと少し後悔する。そして、節約のためだと言ってクーラーを設置してくれなかったフリオニール達を恨んだ。

「麦茶持ってくるッスー」
 ソファから立ち上がり冷蔵庫へ向かうティーダの体から目が離せない。
 意外に細く、だがスポーツ選手らしい引き締まった体にツゥと伝う汗。うなじに、背中に流れていくそれに情事の彼を思い出す。
 耳を澄ませば、暑さで乱れた呼吸すら聞こえる気がして思わず喉が鳴る。

 ……馬鹿なのか俺はフリオニールなのか欲求不満なのかと自分にツッコミを入れてしまうのも、こんなに、煽られてしまっているのも全部この暑さが悪いと思う。
 この異常気温に全て押し付けて、高ぶった気持ちを落ち着けようとゆるく頭を振る。ぽたり、と顎から汗が落ちた。

「はいスコール」
 いつのまにかティーダが麦茶を持って目の前に来ていた。カランと涼しげな音をたてて氷が崩れる。
 それを受け取って、ひとくち。暑さでのぼせてしまった頭が少し正気に戻った気がした。

……が。

「ん……」
「………………………」
 目線をあげると、麦茶を飲むたび上下する喉。先日つけたばかりの赤い痕が目に入ってしまって。
(あぁ……)
「ぷはーっ!生き返るッスねー!……ってうわ」
 ティーダがコップを机に置くと同時に腕を引き寄せて抱きしめた

やっぱり暑さのせいだ。いや、それよりも無防備で無意識に誘いまくりなこいつが悪い。

「え、え、何!?」
「……俺は悪くない」
「へ?つかスコール暑くないんス」
 か、とまで言わせず、戸惑う彼に口付ける。麦茶を飲んだばかりの舌はひんやりと気持ちよく、夢中で絡めた。

「んん……っ!……ッん、あ……!」
 けれど、やはりそれは一時的なもので、すぐに本来の熱を取り戻す。
 くちゅりと音をたてて離れると、すっかり熱くなってしまった体を再び抱きしめてソファに押し倒した。

「ス、コー……ルっ……」
 肩で息をするティーダの、汗に濡れた上半身を指でなぞって、その首筋に流れる汗を舐めあげるとびくりと大げさに震えた。
「……しょっぱい」
「あ、あああ当たり前っスよ!何考えてっ……んぁ」
「あつい……」
「暑いならやめろ、って、ばっ……スコール……!汗、かいてる、からッ……」
「構わない」
「俺が構……ッや、やだって……も……!あ、あ……」

 馬鹿みたいに暑い中でさらに暑くなるようなことをしようとする俺はやっぱり暑さでおかしくなってる。
 蕩けそうな温度の中で、誰がいつ帰ってくるか分からないリビングで、どろどろの体を混じり合わせた。

――――――

「で?四回目が終わった所でティーダが失神したと」
「………………」
「失神つーよりのぼせた感じだよなアレ。熱中症?麦茶飲んでなかったら脱水症状でてたんじゃないか?」
「………………」
「はいソファもご覧の有り様ですおかーさん!」
「誰がおかーさんだ!……で、スコール」

 何か言う事は?

「………………暑かったんだ」

【だって暑かったから】

(バッツ、フラッド)
(りょーかい☆)

――――――

暑さで頭ぱーんな獅子様。/(^0^)\アッー
お下品ですみません。
最後の会話は259です。他のメンバより先に帰ってきました。
フリオはオカンだし18なので一応スコも弟的な扱いだと素敵だと思います。
後始末はティナや玉ねぎが帰ってくるまでにね^^
ちなみにご覧の有り様とか言ってますがそこまで酷くはありません←
多分汗かきまくって酷い事に……っていう……きっと……

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