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「譲るつもりはないよ?」
「それはこっちのセリフだ」
「お、俺だって」
「「フリオは昨日組んだだろう」」

 ゴゴゴゴ……という音が聴こえてきそうな程に威圧してくる二人にフリオニールも思わず口をつぐんだ。
「なーなー、まだ決まらないんスかー?」
「ごめんねティーダ、ちょっと待ってて」
「誰がティーダと組むか……これは重要な問題だからな」
「どこが重要なんスか……」

 戦意満々なのは結構なのだが、こうなるとなかなか決まらない。
 あくびをしながら二人(正確には三人)のやりとりを少し離れて眺めるティーダ。
 ティーダが誰かを指名すれば早いのだろうが、選ばれなかった二人の悲壮感といったらない。選んだティーダの方が罪悪感を感じて落ち込んでしまったので、それ以来自分達で決めるということになったのだが。
「この前クラウドと組んだときはティーダが怪我しちゃったし、心配だよ。僕が組むよ」
「そういうお前の時は過保護すぎてティーダにあまり攻撃させなかったじゃないか。過保護すぎるのも問題だぞ」
「いや、過保護はどっちもどっち……」
「いやフリオも似たようなモンっすよ」
 冷静に突っ込みつつ、ブリッツボールを弄ぶ。模擬戦をするたびにこうも言い争われてたまらない。
 自分と組みたいと皆が言ってくれるのは嬉しいけど、過保護すぎるのは問題だ。
「体鈍っちゃうッスよー」
 ころりと草の上に寝転がる。ここが戦いの地であることを忘れてしまうような心地よい風と陽光に目を閉じると、草を踏む音と共に光が遮られた。
「……何してるんだ?」
「スコール! あ、バッツとジタンも!」
「お、なんだ? 喧嘩でもしてるのか?」
「大方また誰がティーダと組むかでもめてんだろ?」
「ジタン大正解ッス!」
 けらけらと笑いながら見ているジタン達に三人は気付く気配がない。そろそろ背景に竜とか虎とか狼とか出てきそうな勢いである。
「なあティーダ、暇なら俺たちと模擬戦やらねぇ? こっちは奇数だからタッグ戦なかなかできないんだよな~」
「まじッスか! やるやる!」
「んじゃ俺とジタン、スコールとティーダな! あっち行ってやろうぜ」
「おい何でそうなる」
 実に楽しそうに走っていく二人を呆然と眺めるスコールの手をティーダが握った。
「ほら、早く行くッス! もーオレ退屈で死にそうだったッスよ!」
「おい……っ」
 躊躇いつつも、諦めたように息をつくとスコールも足を速めた。後ろではまだ三人が話し合っていた。

――――――

24710の日SS。

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