答えはいつか、旅の果てで。-夕冥の章-

紅蓮編

  • 35.故郷

     故郷を取り戻す。 旅に出る前の自分だったら、その言葉をいまいち理解できなかっただろうとハルドメルは思う。 海…

  • 36.陽炎

    (負けた)  慌ただしく人が行き交い、物資や怪我人を運び、治療をして。そんな中で彼女はほんの僅かな間、呆然と立…

  • 37.瑠璃の海を越えて

     海が好きだ。 生まれたのが船の上だっただとか、名前にも『海』があるからだとか、なにかと縁があるというのもある…

  • 38.火を分け合って

    「碧甲羅の拠点に行くならまあ、舟か泳ぐかだな……あー今夜は月が出てなくて見え難いからなあ。お頭も一人二人不審者…

  • 39.幕間:いたみを知る者

    「悪いな、まだ向こうに着いて間もなかったんだろう?」「いえ……人手不足なら……」 しょうがないです、と尻すぼみ…

  • 40.闘志の理由

    「――良かった、大丈……」 声をかけようとしてハルドメルははっとした。虫型の魔物に襲われていた少女は、少し離れ…

  • 41.隔絶された草原で

     広大な草原を、びゅうと風が吹き抜けていく。青々とした草の香りと、決して豊かとは言えない大地に生きる力強い命の…

  • 42.焦がれる程の願い

     バルダム覇道の試練を超えたハルドメル達を待っていたのは、オロニル族とブドゥガ族の戦士だった。敵陣を見ておこう…

  • 43.願いの先

    『出会いを大切に、ということよ。あなたは旅人なのだから』 テムルンのその言葉は何故か、ハルドメルに今どこにいる…

  • 44.分岐点

     ヒューラン族とララフェル族の怪しい二人組。 その話を聞いた途端、ハルドメルは酷く動揺した。――もしかしたら。…

  • 45.選択肢

     黒渦団、双蛇党、不滅隊、そして神殿騎士団。それぞれの旗が掲げられた同盟軍の最前線本部となったポルタ・プレトリ…

  • 46.終わりの戦

    「道を開きます!」「英雄殿! 先へ!」  剣戟の音。砲撃の音。エーテルが迸る術の音。 「下がって!」 アラミゴ…

  • 47.故郷への旅路

    「うっ……相変わらずだなぁこの暑さ……!」 久々に降り立ったザナラーンの地は、ギラバニアとはまた違う暑さでもっ…

  • 48.幕間:英雄になれなかった男

     薄暗い牢は少し黴臭い。ないよりマシという程度の粗末な布の上に転がって、男はぼうと天井を見ていた。 捕えられた…

  • 49.親友

     久方ぶりに訪れた親友の眠るクルザスの地は、相も変わらず純白の雪に覆われている。 それでも折を見て訪れる時晴れ…