ベッドの上に転がされた少年は、頭上で両手を鎖で戒められ、黒い布で目隠しをされていた。
「その顔を曇らせてやろう」
そう言うと微かに身を強張らせて、これから起こる事に耐えようとしているようだった。
何をされるか、は、恐らく分かっていない。
「ククク……」
喉の奥で笑うとそれが気に入らなかったのか少年が顔を顰める。
それに構わず、手を伸ばして首筋をツゥ、と撫で上げた。ぴく、と体が震えるがそれだけだ。
「隠すことはない……視界を奪われて、他の感覚が鋭敏になっているのだろう……?」
首筋に顔を埋め舌を這わせる。ぬるりと滑る熱い舌と吐息が彼の肌を舐め体が跳ねた。
「ッ……に……すんだよっ……!」
問いには答えず、しばらく無言で放置する。気配は感じるのだろうが、何もしてこない事に戸惑っているらしい。
耐えかねて僅かに体をよじった所で、今度は服の中に手を潜り込ませて僅かに反応を見せている突起を強く抓った。
「いッあ゙!!」
「……クク……いい反応だな……」
見えない、という恐怖をようやく理解したのか、少年の顔が微かに青ざめる。
何とか脱出しようとしているのか、鎖の擦れる音が大きくなる。肩が痛むだろうに、苦渋の表情を浮かべながらもがく様はさながら蜘蛛の巣にかかった獲物だ。
戸棚からとある物を取り出す。ちゃぷんという水音に反応し、一度抵抗を止める少年。
何をしようとしているのか、探っているようだ。知った所でどうなる訳でもあるまいと、自ら教えてやる。
「これは私の世界にある薬……『興奮剤』だ。本来は戦闘中に高揚感、五感の鋭敏さを得る為に兵士が使うものだが……」
「……それを……どうするんだよ……」
少年が訊ねるものの、その声は明らかに未知のものへの怯え、恐怖が含まれている。
どうする、なんて。分かっているだろうに。
蓋を開け、その液体を彼に飲ませようとする。が、口を硬く閉じ顔を背けてしまう。
分かりきった抵抗にくつりと笑うと顔を無理矢理こちらに向けさせた。鼻を塞いで呼吸を止める。
――が、一向に口を開けようとはしない。そして思い出す。彼は常人よりも長く息を止めていられるのだ。
不意に視界にちらりと光るものがあった。それは『夢の終わり』にいる幻光虫のかけらのようなもの。
(そうか……そうだったな……)
まだまだ余裕、と言った様子の彼に片手をかざした。
「……ッ……!?」
しばらくすると異変に気付いたのかうろたえる。次第に苦しくなってきたのか顔色も悪くなっていく。
「幻光虫のような精神エネルギーを……自分だけが扱えると思うな」
口に興奮剤を含むと、鼻を塞いでいた手を離すと同時に少年の唇を奪う。
驚いたのか息を吐き出してしまい、酸素を求めて僅かに口が開く。その隙間をこじ開け、液体を流し込みながら口内を蹂躙する。
「ん、ぐぅ……ん、んッ……は、…………ッ!!」
「!」
僅かに舌を噛まれ、口を離す。酸欠のせいか、殆ど力の入っていなかったそれは、彼の精一杯の抵抗だった。
――その僅かな抵抗が、自分の何かに火をつけた。
「ふ……クククク……やはりそうでないとな……」
「ん、……はぁ……は、ァ……」
羞恥に頬を微かに染め、酸素を求めて喘ぐ姿は、少年の未成熟な色香を漂わせている。
悪戯に肌を撫でたり、突起を掠めたりと弱い刺激を与えていく。興奮剤が効いてきているのか、感覚は鋭敏になりそんな小さな快感でも拾い上げてしまう。
唇を噛み締め、必死に声を殺そうとする姿が堪らない。
刺激を与え、しばらく触れるのを止める。そして唐突にまた触れる。それを繰り返すうちに、次はいつ刺激が来るのかと身構える少年の息が荒くなっていく。
「っはぁ……はぁ……は、ぁ……ッ」
「興奮、しているのだろう?」
「ち……が……ッく、ぅ……んっ!」
ズボンの上からでも分かる、反応している若い欲望をそっと撫でる。腰が浮き上がり、自ら擦り付けているようだ。
「見えない恐怖……いつ触れられるか分からない恐怖……堪らないのだろう?」
「ん、んんっ……! ち、が……ちがう……ぅ……!」
「クク……現にこうして……」
「あ、ぁッ!?」
服の上からソレを掴むとびくんっと体を仰け反らせる。
「体は反応している」
「ふ、ぁ……ッぅ……」
違う違うと首を振る少年の目隠しの色が一部変化していて、あぁ泣いているのだと知った。
泣くほどイイのか、どこを触ってほしいのか、と耳に息を吹き込むように問いかける。
それだけで可哀想なほどビクビクと震える体には、いくつもの所有印が付けられている。
一つ、舌を這わせて、吸い上げる。消えかかっていたそれは鮮やかな赤を取り戻した。少年が自分のモノになっていくような気がして、そうすればあの男に絶望を与えられるだろうと考える。
他の刻印も自分の刻印で消してやろうと、二つ目も同じように強く吸い上げる。
三つ目に舌を這わせた所で少年が何をされているか気付いたらしく、暴れ始めた。
「やっ……やめ……! 何してんだよ!」
「痕をつけているだけだろう、騒ぐことでもあるまい」
お前を奪えばアレも絶望するだろう、と囁く。だから、早く堕ちてしまえ。
「っ――! や、……」
「どの道、あの人形以外の男に抱かれて悦ぶお前は、捨てられる」
「……! クラウドはそんな事しないっ!」
強く反論され言葉に詰まる。そこまで言うのなら、徹底的に穢してやろう。啼いて、善がって、自ら腰を振るような自分の玩具にしてやろう。
「んぐっ……」
体をうつ伏せにさせ、腰を高く上げる格好にする。拘束する鎖が音を立てた。
服を脱がせ下半身を露にすると、既に勃ちあがった性器と、その先走りで濡れた秘部があった。
「淫乱な体だな……ここで毎日人形のものを銜えこんでいるのか……?」
先走りでぬるついたそこを、円を描くように撫でると堪らないのか小さく啼きながら身をよじる。
感じているのは明らかで、ひくひくと物欲しそうに震えているそこに指を一本挿入してみた。
「っんぁ……!」
成熟しきっていない、薄い筋肉の付いた背が反る。興奮剤が余程効いているのか、空気の流れですら感じているようにびく、びく、と震えている。
少年に覆いかぶさり、汗で濡れた背中を舐める。たくさんの痕がついた肩甲骨辺りに軽く歯を立てると一際大きく体が跳ね、白濁を散らせた。
「ひ、あぁッ……! ……や、…………ッ」
「クク……随分と開発されているんだな……?」
息を荒げ、羞恥に顔を歪める少年。達してしまった自分の体を呪うように、唇を噛み締める。
声を耐えようとベッドに顔を埋める少年。先程のように肩甲骨辺り、そしてうなじを責めるときゅっ、きゅっと内壁が指を締め付けてきた。
未だ着けたままの目隠し布の上から瞼を撫でる。不快そうに頭を振って逃れる少年に、もう一本、二本と指を挿入してやる。
「ひ……ッ……!」
「……薬など必要なかったか……クク……」
中を掻き回しながら一人ごちる。一度達したにも関わらず少年の性器はもう勃ちあがり震えていた。
浅ましい自分の体に絶望し、肉体的にも精神的にも追い詰められたのか、小さく呟かれた名前を聞き逃さなかった。
「……くら…………ど……」
その名を聞いて、心が波立った。濡れた目隠しで見えない瞳は、自分の想い人を探しているのだろう。
「……人形の声が聞きたいか?」
「…………ぇ……」
「その望み、叶えてやろう」
そう言って小さなマテリアを取り出す。スフィアを参考に試験的に作り出したマテリアだ。
四つん這いになった少年の前へそれを置く。目隠しを取ろうとして、やめた。このままの姿の方が、より屈辱的だろう。
妖しい光を放つそのマテリアは、近くのものを映し出し、その光景を対象者の脳に直接送り込むものだった。対象者の音声もこちらに届けることが出来る。
対象者とはもちろん――。
――――――
仲間に救出され、事情を話したクラウドはしばらくテントで休んでいるようにと言われていた。
他の仲間達はティーダ奪還のための話し合いをしている。自分がそこに参加できないのが歯がゆいが、今は傷を治すことが先決だと諭されてしまった。
「ティーダ……」
最後の光景が頭から離れない。また、助けられなかった自分を恨む。
一刻も早く、あの太陽のような少年を、愛しい人を取り戻したい。
こうしている間にも酷い拷問を受けているかもしれないと思うと正気でいられなくなる。
「――――ッ!?」
突然、頭に激痛が走る。頭を抱えてベッドの中で蹲ると、何かが、見えた気がした。
違う、これは直接脳に送られている。ノイズがかった不鮮明なそれが次第に像をなしていく。
と同時に、先程まで想っていた少年の声が聞こえた気がした。弱弱しい声。軋むスプリングの音。荒い息遣い。
耳で直接聞くそれとはまるで違い、脳に叩きつけられるように送られるそれらが完全に結びついた時、クラウドは確かに絶望した。
「てぃー、だ……?」
『……っ……ら……うど……? ……ッや、ああぁ!!」
『お前は、何もできはしない』
目隠しをされ、鎖で両手を拘束されたティーダに後ろからあの男が覆いかぶさり、うなじを舐め上げる。
『お前は、誰も救えない』
脳に送り込まれるその声の主を憎悪する。けれどそれ以上に、今何もできない自分が憎かった。
『あぁ……人形が見ているぞ……』
『や、あ……! や、くらうどっ……!? だ、め……見な……で……ッあああ!』
『お前の恋人は淫乱だなクラウド? こうして憎むべき敵の私に対して、こんなにも乱れている……』
『ちが……ち、がぁ……ッ……く、……ふ……』
必死に声を漏らすまいと唇を噛み締めるティーダ。噛みすぎて血が滲んでいるそれで、彼がどれだけ責められているのかは想像に難くない。
「ティーダ……!!」
また頭痛が酷くなる。次第にノイズがかかっていくそれに向かって、必死で呼びかけた。
「ティーダっ……ティーダ……! 必ず、助ける……!」
『くら……うどぉ……ッ! くら……!』
『お前の全てを、奪ってやろう』
それは、どちらに対しての言葉だったのだろうか。
映像と、頭痛が途切れたあと、クラウドの声を聞きやってきたセシルに簡単に説明する。
事態は一刻を争う。必ず助けると、そう誓った。
憎悪に飲み込まれないよう、意思をしっかりと持つ。クラウドは密かに拳を握り締めた。
――――――
「途切れたか……まだ使えないな」
「っ……く……ぅ……」
じわり、とまた目隠しに水が染み込んでいく。声を押し殺して泣く姿は嗜虐心を煽られるが、何か気に入らない。
「どうした……そんな姿を見られて、捨てられると思ったか? 案ずるな」
後ろから覆い被さり、耳に舌を差し込みながら、胸の飾りを弾いた。びくんと反応する未成熟な体を、もっと味わいたいと思った。
「あれがお前を捨てようと……お前は、私のモノだ」
「――ッああぁあぁぁ!」
前を寛げ、猛ったモノを一気に挿入する。その衝撃で少年は二度目の精を吐き出した。
キツい締め付けに息を吐き出して耐える。絶えず収縮し、奥へと誘い込まれるようなそれ。
ゆっくりと律動を開始するとそれにあわせて弱弱しい声が漏れる。
「ひッ……あ……あっ……あっ」
「本当に……っ……いやらしい、体だな……ふ……っ!」
「やあぁあッ!」
大きく腰を打ちけると肉のぶつかり合う音と共に耐え切れなかった悲鳴があがる。
がちゃ、がちゃと鎖が音をたてる。体勢のせいか時折肩も痛むようで、時々苦痛の声も漏れた。
自分より小さな体を再び仰向けにさせる。内壁をぐるりと刺激され、びくびくと体が痙攣した。
胡坐をかいた上に少年を乗せる。火照る体、だらしなく開いた口の端から唾液が零れて、それは酷く扇情的だった。
自分の胸へと体を預けるようにもたれかかる少年の体を抱え、律動を再開させた。
「ひあッ……あっ……あっあッ! い、やだ……ぁ! ふぁ……ふか……ぁッ……!」
より深く入り込んだ雄が少年の内壁を蹂躙し味わう。きゅうきゅうと締め付けるそこは絶えず快楽を与えてくる。
ちらちらと誘うように蠢く舌に吸い付くと鼻にかかった甘い声を漏らした。
「いや、だぁ……やだぁ……ッひ……あ……クラ……ウド……くらうどぉ……!!」
――律動を、速くする。壊れたように喘ぐ少年の口から零れるのはあの男の名前。
「あぁッ……や、ぁん! あっあッ……くら……ど……! ……ッひ、……い!!」
見つけた性感帯を刺激しながら、ぐちゅぐちゅと音がなるほど耳をねぶる。
「ッや、ァ……あ、あ、……あぁッん、ん、んんあっ!」
「……ふ…………は、あ……」
「ぁ! やッ! や、だっ……い、く……! ま、た……イ……っちゃ……ぁ! くらうどっ……! くらうどぉッ!」
「っぅ……!」
「や、あ、あァああッ!!」
激しく痙攣しながら、狂ったように恋人の名前を呼びながら、少年は三度目の精を放つ。
どくどくと少年の中へ流し込む白濁は、拒絶されるように流れ落ち、シーツに染みを作っていく。
小刻みに痙攣する少年の目隠しを取る。そこには穢された虚ろな瞳があった。
その顔を見たいと思ったはずなのに。
体の充足感とは違い、心が満たされることはなかった。
――――――
……………………………これはひどい。
え、えーと……一応表のDespairの続きになります……が……
ちょ、ちょっとやりすぎちゃった、かな……えへ←
ネタの泉で、佐内様からいただいた『クラティ前提のセフィティで目隠しor監禁ネタ。裏表どちらでも』というリクでした!
佐内様ありがとうございました!いつもコメントもありがとうございますv
目隠しor監禁で、裏表どちらでもという事でしたが私の大好物なネタだったのでどちらも使った上で裏にしてしまいました……
か、書き始めたら止まらなくなって改めて自分の変態さに打ちひしがれました^p^
セフィロスはあれです、歪んだ愛情です。クラウドに絶望を与えようとティーダの事も色々調べていくうちに……みたいな……
しかし読み直すと監禁というより普通に拘束してるだけですね!
それにしてもちーだ苛め楽しい……楽しいけど自分のじゃ萌えない!誰かセフィティの裏ください全力でお願いしm(ry
表の前編もですが、争奪戦的なギャグとかを期待していたなら本当にすみません><
もしそうだったらお天気トリオ+セフィの争奪戦で後日リベンジします(笑
最後まで読んでくださりありがとうございましたーvv
あ、この後はちゃんとクラウドが助けにきますよ!w