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半端者(砂霜)

『あー曹長? 御宅の若い子もうちょっとどうにかなんない?』「ああ? 何だよ藪から棒に」 馴染みの事務員からの内線に出るなり、ため息混じりにそんなことを言われてサンドマンは首を傾げた。『フロストくん? だっけ? 彼さっき消耗品補充の申請書持っ...
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たまには素直になりましょう

"I want to stay by your side forever." メッセージを書いたカードを眺め、小さく息をついた。 我ながらもう少し気の利いた言葉を書けなかったのかと呆れるが、これ以外に思い浮かぶ言葉がなかった。 懇願にも似た...
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特別な日

「もし、今日だ、って言ったらどうすんだお前」 二人きりでささやかなクリスマスの宴を開いている最中だった。 ローチが少し奮発して買った酒と小さなクッキーを携えてゴーストの部屋にやってきたのが三十分程前。 クリスマスなんぞやらなくていいというゴ...
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明けない夜を眺めながら

「マヌケ」「酷いです……」「うるせー事実だろうが特殊部隊のくせに風邪ひく馬鹿がどこにいるんだよああここにいたなそう言えば」「すいません……」「ただでさえ人手不足だってのに」「もー……勘弁して……げほっ……ください……」 もごもごと毛布を被り...
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存在意義

「おい……おいローチ、聞いてんのか」「もうっ、静かにしててよゴースト!」 小声で文句を言いながら、少年はそろりそろりと足音を忍ばせて歩く。その後ろでは、不気味な髑髏柄のバラクラバとサングラスをつけた男が腕組をして立っていた。膝から下がなく、...
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雨音の中で

寒い。 酷く寒かった。「クソっ……!」 ざあざあと降る雨の音が耳鳴りのように煩いのに、自分の呼吸も、声も鼓動も嫌にはっきりと聞こえた。 対して担いだ体からは微弱な生の気配しか感じられず焦りが募る。こうしている間にもいつ追撃を受けるかわからな...
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嗤う月

「これとこれとー……あーこれは苦手って言ってたっけ? まいっか」 ぽいぽいとカートの中に商品を投げ込みながら、ローチはふと足を止める。(……いいのかな……) 自分がやろうとしていることを思い返し、躊躇う。それはきっと、ゴーストが望まないこと...
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傍観者より愛を込めて(マカユリ)

我輩は猫である。 そんな一文ではじまる物語が、東洋の国にあるらしい。 それを教えてくれたのは、その物語が生まれた東洋の島国から家族と共に長期滞在しにきた、自分とは正反対な真っ白な毛色が美しい妙齢の女性だった。 家族と言っても仲の良い老夫婦二...
【完結済】Roundabout

たった一つの過ち

あの後どう行動したかさっぱり思い出せないが、ベッドに腰掛けたままの姿勢で気付けば朝になっていた。 正直眠っていたのか茫然自失としていたのかすら分からない。頭は妙に冴えたままで、長時間同じ体勢だったせいか体はぎしぎしと悲鳴を上げている。 体を...
【完結済】Roundabout

真実と虚構の狭間【R18】

あれからしばらくの間、ゴーストがローチを呼び出すことはなかった。 熱に悩まされれば女を捜し、見つからなかったりそんな時間もなかったりする時には耐えて寝る。 ただ、どんな女を抱いても熱は治まるが、どこか満たされないような感覚と倦怠感ばかりが残...