【長編】答えはいつか、旅の果てで。

【長編】答えはいつか、旅の果てで。

29.差し伸べる手

イシュガルドがエオルゼア同盟軍への復帰を宣言した日と同じように、この日もまた空はよく晴れ渡っていた。 押し進められる変革に異を唱えた者達の声は、まだ記憶に新しい。だが四国合同演習でイシュガルドが勝利したことにより、貴族も平民も関係なく手を取...
【長編】答えはいつか、旅の果てで。

28.前へ、ただ前へ

立ち止まっている暇などない。悲しくても、苦しくても、時間は止まってはくれない。 できることがあるならば、やる。今までも、今も、これからも。「以前の旅を思い出して、少し感傷的な気分になってしまうよ」 聖竜の眷属たるヴィゾーヴニルとイシュガルド...
【長編】答えはいつか、旅の果てで。

27.語られない心

千年続いた戦争が終わり、長く閉ざされていたイシュガルドという国が、エオルゼア軍事同盟へと戻る式典が行われている。 クルザスは雪が多く降り、どんよりとした寒空の印象が強いのに、その日の空は皮肉なほどに蒼く澄み渡っていた。 さく、さく。 雪を踏...
【長編】答えはいつか、旅の果てで。

26.その剣は誰が為に

後に彼女が竜詩戦争の話をする時、そこから先の話は、それまでに比べて随分と、曖昧になる。――忘れたわけでは、決してない。ただ――彼女はあまり多くを語りたがらなかった。「多少は、光の加護が戻ってきているようだが……蛮神を倒せたとて、加護を失って...
【長編】答えはいつか、旅の果てで。

25.世界で一番美しい

エスティニアンの手によって残る眼を抉り取られた邪竜ニーズヘッグは、雲海へと消えていった。――終わったのだ、千年続いた永きに渡る戦争は。その立役者である、ヒトには過ぎた力を持つ二人はしかし、喜びも安堵も感じていない。「浮かない顔だな相棒。嫌疑...
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24.傷に祈りを、額に願いを

聖竜との対話は、失敗に終わってしまった。 そもそもの前提が間違っていたのだと、信じてきたことは幻想だったのだと、真実を知らされたイゼルは失意の底に沈む。それでも、邪竜の侵攻は食い止めなければいけない。迷っている猶予などなく、イゼル以外の三人...
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23.歩み寄る旅路

「……来い、カーバンクル!」 アルフィノの持つ魔導書に魔力が走り、組み上げられた術式によって仮初めの命が生み出される。輝く身体を弾ませ、魔法生物カーバンクルが主人の指示で魔物へと立ち向かう。 ヴァスの塚のすぐ傍で、ハルドメル達の帰還を待つば...
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22.今の自分にできること

「貴様も、気付いているのだろう! 暁やエオルゼア各国は、貴様の『特異な力』を利用した! クリスタルブレイブに至っては知名度までもな!」 その言葉は、当事者たるアルフィノの内側に鋭く突き刺さる。動揺を隠し、なんとかイルベルド達の猛攻を抑えたも...
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21.雲海に差す光

「来て早々にとんだ災難だったな」「でもシュファンが来てくれたから助かったよ!」「当然だ! 友のピンチに駆けつけるのがイイ騎士だからなっ」 二人で並んで皇都を歩く。はしゃいでいる場合ではないのだが、アバラシア雲海の浮き島の数々や見慣れない動植...
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20.幕間:香りが呼び起こすもの

「オルシュファン、ただいま参りました」「入りなさい」「失礼します」 フォルタン伯爵――父の私室に入るのはいつぶりだろうかと、ふと考えた。オルシュファンがここへ来るのはいつも決まって大事な時だ。この家の、フォルタン家の従騎士に任命された日。親...