FF14

【長編】答えはいつか、旅の果てで。

07.ある騎士の瑕疵

「……うん、ありがとう。頼りにしてる!」 二言三言交わして仲間との通信を終えたらしいハルドメルは、キャンプ・ドラゴンヘッドを訪れてから一番晴れやかな顔をしていた。「どうした、イイことでもあったか?」 オルシュファンがそう訊ねれば、彼女はとて...
【長編】答えはいつか、旅の果てで。

06.その眼差しの意味は

(……やっぱり、なんか……) ウ・ザル・ティアは不思議だった。最初はとても、とても僅かな違和感ではあったのだが、それは今彼の中でほぼ確定事項になっている。「いたいたウ・ザル。蛮神タイタンが召喚された話は聞いた? これから調査に行くんだけど…...
【長編】答えはいつか、旅の果てで。

05.別れと、出会いと

『別れ』というものを、極端に避けていたのかもしれない。 友達を作らなかったのは、怖がられることが殆どであったというのもあるが、親しくなってもすぐお別れとなることが寂しいからという理由もあった。 古い、一番古い記憶。行きたくないと駄々を捏ねて...
【長編】答えはいつか、旅の果てで。

04.ちいさな手

(……あれ) その日、ハルドメルは忘れられたオアシスと呼ばれる、ミコッテのサンシーカー族が暮らす集落に来ていた。サゴリー砂漠に入る直前にあるこの集落は、この地を訪れる者――と言ってもそうそういないのだが――にとって貴重な水源であり、焼けた砂...
【長編】答えはいつか、旅の果てで。

03.変わる世界

「いやいや、新たな英雄が生まれたという噂を聞きつけましてな!」 興奮気味に話す三国のグランドカンパニー将校達の言葉に、ハルドメルは思わずぎょっとした。 英雄――? 英雄とは武勇や才知に優れ、凡人には成し得ない偉業を達成するような人のことだ。...
【長編】答えはいつか、旅の果てで。

02.旅立つ理由はすぐそこに

東の空が少しずつ明るくなりながらも、まだ薄闇が残る早朝。ラノシアの片隅で木人を叩く音が密やかに響いていた。「ッは……」 その人物の身長は二ヤルムを優に超える。引き締まった肉体は、日々の鍛錬を欠かしていないのを証明していた。 黒い肌から汗が滑...
【長編】答えはいつか、旅の果てで。

01.銀色の人

銀色だ、と思った。 きらきらとした陽の光を浴びて、鈍く光る銀。 その色だけが、脳裏に今でも焼き付いていた。「ハル、来週からは黒衣森方面だから前回と同じやつをお願いしてきてね」「はーい」 緩く波打った、深海のような紺の髪が揺れる。レッドルース...